FUS治療(ふるえ外来)

『手足のふるえ』でお困りの方へ県内初のFUS装置を導入し
『ふるえ外来』を開設

手がふるえて文字がうまく書けない、お箸やコップをうまく持つことができない……。
そんな症状にお悩みの方は、ぜひ「ふるえ外来」にご相談ください。
手術や薬を使わない、新しい治療法「FUS(MRガイド下集束超音波)治療※」をお受け頂けます。
※[FUS]は保険適用の新しい治療法です。

本態性振戦 (ほんたいせいしんせん)とは

「手がふるえて字が上手く書けない」「食事の時にお箸やコップを上手く持てない」というように、特定の姿勢をとった際などに生じる原因不明のふるえ症状を「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」といいます。
本態性振戦は65歳以上の高齢者の発症率が高く、全国に100万人以上の発症者がいるといわれています。主な症状は手足や頭、声のふるえで、日常生活や社会生活に支障をきたします。年齢とともに症状が悪くなることもありますが、歩けなくなったりすることは稀です。家族にも同じ症状が認められる場合があります。

このような症状の方へ

  • 手足が意志に反してふるえる
  • 文字を書いたり、食事をしたりなど、特定の動作でふるえる
  • 決まった姿勢をとった時に、ふるえの症状が起こる
  • 家族にもふるえに悩んでいる方がいる

診療スケジュール

診療時間
午前9:00〜12:00
午後2:00〜5:00(木曜日は午後3:00~)

FUS(MRガイド下集束超音波)治療とは

従来、本態性振戦の治療は薬物療法から開始し、十分な効果が得られない場合は合併症や副作用などを考慮しながら手術療法を検討します。手術療法は頭蓋骨に小さな孔を開けて行いますが、MRガイド下集束超音波治療法(FUS)は、頭蓋骨に孔を開けずに治療を行える画期的な治療法です。
治療では、超音波と磁気共鳴画像装置(MRI)を併用します。超音波発生素子が埋め込まれた治療ヘルメットに患者様の頭を固定し、ふるえの原因となる脳深部の神経回路に超音波を集束させてピンポイントに照射。熱で凝固させて症状を抑えます。
超音波は頭蓋骨を貫通するため、従来のように頭蓋骨に孔を開ける必要がありません。そのため、出血や感染症のリスクが少なくて済みます。
また、MRI・超音波を使う治療は2019年の6月から保険適用になりました。2020年にはパーキンソン病のふるえの治療も保険適用となり、新たな治療でありながら保険で治療を受けられます。

※MRガイド下集束超音波治療は、本態性振戦による手のふるえなどを軽減するための治療法であり、病気そのものを治療するものではありません。

FUS治療の特長

  • POINT
    1
    放射線の被曝がない
    使うのはMRI(磁気共鳴画像装置)の磁気と治療用の超音波だけなので、放射線による負担を与えません。
  • POINT
    2
    からだを傷つけない
    頭蓋骨に孔を開けたり、機器を埋め込んだりする必要がなく、出血や感染症リスクといった体への負担が少なくて済みます。
  • POINT
    3
    確認しながら治療
    MRIでリアルタイムに正確な位置と温度を確認しながら確実な治療を行えます。
  • POINT
    4
    治療中の対話が可能
    麻酔を使わない治療なので、医師と会話して状況を確認しながら、超音波照射や効果判定ができます。

治療の流れ

  • STEP
    1
    本態性振戦の診断
    専門医の問診により、ふるえが本態性振戦に起因するかどうかを診断します。
  • STEP
    2
    術前準備
    治療の数日前にCTスキャンを実施して、頭蓋骨の形状や厚さ、密度などを評価します。
    頭部のMRI撮影のため、剃毛、局所麻酔を行います。
  • STEP
    3
    プランニング
    術前および術中にMRI画像を撮り、治療プランを立て、標的を特定します。
  • STEP
    4
    標的部位の確認
    準備として低エネルギーの超音波を照射して、MRI画像を確認しながら標的部位を正確に特定します。
    同時に中程度の超音波を当てて患者様の反応を伺い、合併症の併発などの可能性がないかを十分に評価します。
  • STEP
    5
    治 療
    超音波を治療部位に集束させ、温度を高温(60℃以下)まで上昇させることで、標的組織を熱凝固させます。MRIでリアルタイムに確認しながら治療を行います。通常はふるえの強い側、両側の場合は利き手側のみに対して治療を行います。
  • STEP
    6
    評 価
    術後は、MRIの強調画像を用いて治療効果を確認します。治療時間は一般的には3~4時間で、すぐに病棟に戻ることができます。術後短時間のうちに振戦症状の現象の確認が可能で、退院後は外来での診療となります。

担当医の紹介

豊田えいせい病院 副院長杉山 憲嗣

浜松医科大学 脳神経外科准教授。
2020年に機能神経外科学会と日本ニューロモデュレーション学会の会長を務める。
同年6月には米国ベストドクターズ社主催のBest Doctors in Japanに選出。
当院のふるえ外来の開設に伴い、2020年4月より常勤で治療を担当。

手術経験数: 脳深部凝固手術 90例実施、DBS療法 170例実施
専門領域: 機能的脳神経外科(パーキンソン病による不随意運動、頑痛症、神経血管減圧術)、モニタリング
所属学会: 2019年度 日本定位・機能神経外科学会 学会長
2019年度 ニューロモデュレーション学会 学会長
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